パピとママ映画のblog

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万引き家族★★★★・5

2018年06月10日 | アクション映画ーマ行

「そして父になる」「海街diary」の是枝裕和監督が第71回カンヌ国際映画祭でみごと最高賞のパルム・ドールを受賞した衝撃と感動の社会派ドラマ。都会の片隅で万引きなどの犯罪で食いつなぐ一家が、貧しいながらも幸せな日々を送る姿と、そんな彼らを取り巻く厳しい現実を、血のつながりを超えた家族の絆とともに描き出す。出演はリリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、樹木希林。

あらすじ:高層マンションの谷間にポツンと取り残されたように建つ古びた平屋の一軒家。そこに治と妻・信代、息子・祥太、信代の妹・亜紀、そして家の持ち主である母・初枝の5人が暮らしていた。治は怠け者で甲斐性なし。彼の日雇いの稼ぎは当てにならず、一家の生活は初枝の年金に支えられていた。そして足りない分は家族ぐるみで万引きなどの軽犯罪を重ねて補っていた。そんなある日、治は団地の廊下で寒さに震えている女の子を見つけ、彼女を家に連れ帰る。ゆりと名乗るその女の子は、両親のともに戻ることなく、そのまま治たちと暮らし始めるのだったが…。

<感想>ついにカンヌ国際映画祭において、最高賞のパルム・ドールを受賞した本作。是枝裕和監督、おめでとうございます。東京の下町、今では珍しくなった三世代+母の妹の6人で住む家族の物語だが、題名通り、普通の家族ではない。みんな少しずつ物を盗んで暮らす人達なのだ。何だか万引きを肯定している映画なのでは、何て思ってしまう。確かに法律的には悪いことをしている家族で、それに対しては擁護すべきことではない。

この映画は、閉鎖感を増す現代社会への挑戦状でさえもあるのだろう。また、この家族の老若男女は、ともすれば我々観客がこの映画の、一部かもしれないと思わせるものがある。

昨今起きた5歳女児虐待死亡事件、親の年金不正受給とか、TVのニュースを騒がしている課題を内容にしているので、心が痛みます。犯罪でしか繋がれなかった家族たちの姿を描き出していると言ってますが、やはり人間って一人で生きていくには寂しい感情があり、温もりを求めます。いじめや喧嘩もなく、寄り添って優しくいたわり合う家族は少なくなったのかも。

冒頭でのリリーさん扮する父親と息子の翔太の万引きの共同作業現場を見せる。これは親に人の物を盗んではいけないと教えられなかったのか。親が率先して万引きを子供に教えるとは、あまりにも教育として如何なものかと。

ですが、人の幸せについて考えると、その後では冬の帰り道で、マンションのベランダで寒さに震えていた少女に、「コロッケ食うか」と声をかけて、放っておけなかった父親が家へ連れて帰るところから始まる。これも、誘拐であり、警察に連れて行き、児童虐待とかで児童相談所に引き取られるわけで、そこから本当の両親に引き渡される。

しかし、現実は、その女の子を食事も満足に与えず虐待して死なせてしまうケースもあるから。しかし、リリーさんは、家で待っている妻の安藤サクラに、彼女から母性本能を引き出してあげようという想いから連れてきたわけで。少しの間でも、その女の子は連れて行かれた家で、知らない人たちと温もりのある優しい家族という暮らしを体験するのだ。

それに、息子の翔太が成長してきて父親がダメな人間に見えて来る。駄菓子屋で万引きをしても叱らない主人、翔太に「妹には絶対に万引きをさせてはダメだぞ」と優しく注意する柄本明さん、この役者さんも上手かった。

家族全員で夏の海へと遊びに行くシーンも印象的でした。お婆ちゃんの樹木希林が、サクラに対して「あんたよく見ると綺麗だね」という。確かに少女を自分の子供として育て初めてから、信代が神々しく見えてくる瞬間があるから。このシーンを撮った時にサクラは、丁度出産をして母親になっていた時。だから、少女に対して母親らしい目線で優しく抱きしめたりする。子供って母親に抱かれている時が一番の幸せなんだから。

妹の松岡茉優が働いている風俗店もいかがわしいところで、そこへ茉優ちゃんご指名の4番さん、茉優ちゃんの膝をマクラにして、うたたねをする男が安らかな顔をしていた。

この人たちがやっていること自体は悪いことですし、結局見ているうちに、何が正しくて何が悪いのかという正解を上手く言えない気持ちがある。それは家族と一口に言っても、その形は本当にいろいろであり、そもそも正解なんてないのかもしれない。

 

夏の夜に、父親が「花火が始まるよ」とみんなに声をかける。家の軒の間から、見えない花火の音に、何と幸せそうに表情を輝かせる家族たち。これが「疑似家族」だとは誰にも分らないでしょう。

だからこそ、この作品を観て感じるものも、観た人によってさまざまでいいと思うんですね。その人なりに感じたものでいいと思います。もう一度観に行きたいですね。そうしたら、また違った感想が書けるのでは。

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